Amazonギフト券や楽天ギフトカードなど、電子ギフト券の個人売買が活発に行われている昨今。フリマアプリや専用の売買サイトで手軽に取引ができる一方で、「これって法律的に問題ないのでは?」という声も増えています。本記事では、電子ギフト券の個人売買における運営者・出品者・購入者それぞれの立場から、違法性の有無や規約違反の可能性について、徹底的に解説します。

1. 電子ギフト券の個人売買とは?

電子ギフト券の個人売買とは、Amazonギフト券や楽天ギフトカード、Appleギフトカードなどの電子コードを個人同士で取引することを指します。現金化手段として利用されることも多く、近年ではフリマアプリや専用の売買サイトなどを通じて、個人レベルで活発に行われています。
この記事ではまず、電子ギフト券が個人売買されている実態と、その背景にある理由を明らかにし、次章以降で運営者・出品者・購入者それぞれの立場からの違法性やリスクを掘り下げていきます。
個人売買が行われている主なプラットフォーム
電子ギフト券の個人売買は、以下のような複数の媒体で日常的に行われています。
■ フリマアプリ
- メルカリ
- ラクマ
- PayPayフリマ
これらのフリマアプリでは、Amazonギフト券やAppleギフトカードなどの出品が多数確認されています。ただし、公式には電子ギフト券の出品は禁止されていることが多く、違反行為とみなされる可能性が高いです。
■ 専用の個人売買サイト
- ギフト券取引に特化した個人間売買サイト(匿名サイトや掲示板型サイト)
これらのサイトでは、売主と買主が直接やり取りを行い、電子ギフト券のコードを売買します。アカウント登録や取引掲示板形式でのやり取りが中心で、仲介業者を通さない分リスクも大きくなります。
■ SNS(Twitter・LINEグループなど)
一部のユーザーは、SNSを通じてギフト券を現金で販売・購入しています。これらは非公開・非正規な手段であり、詐欺や不正コード、トラブルが起きやすい環境といえるでしょう。
フリマアプリ・専用サイトでの取引実態
例えば、メルカリでは検索バーに「Amazon ギフト券」などと入力すると、コードタイプの商品が複数ヒットすることがあります。運営側も定期的に出品削除やアカウント停止を行っていますが、出品方法を工夫することで規制を回避しようとする出品者が後を絶たないのが現状です。
また、ギフト券専門の売買サイトでは、
- 「即時送信」「高還元率」「残高保証あり」
などの文言を使って取引を促進しており、一見すると正規の買取サイトと見分けがつきにくいケースもあります。
📌 注意点:こうした専用サイトの中には、運営者情報が不明確、古物商許可なし、サポートなしといったケースも多く、法律的にも非常にグレーな運営形態が目立ちます。
なぜ個人売買が増えているのか
電子ギフト券の個人売買が増加している背景には、以下の3つの要因があります。
1. 換金率の高さを狙った出品
買取サイトを介さずに直接購入者に売却することで、仲介手数料を省いて高い換金率を得ることができます。
たとえば、業者であれば85%の買取率のギフト券を、個人売買なら90%で売ることも可能です。
2. 入手手段が多様化したことによる“余り”の処分
キャンペーンやポイント交換などで入手したギフト券を「使わずに処分したい」と考える人が増えており、少額・単発の売却を希望する個人が増加しています。
3. 現金化を目的とした後払いユーザーの流入
後払いサービスで購入した電子ギフト券を即売却し、現金化する目的でフリマアプリやSNSを利用するユーザーが増えています。
これは業者の審査を通さず、即現金を得たいというニーズと直結しています。
取引の利便性と同時に高まるリスク
個人売買のメリットは、
- 買取率が高い(売る側)
- 相場より安く買える(買う側)
- 手続きが簡単(登録や本人確認不要な場合も多い)
という点にあります。
しかし、その一方で、以下のような重大なリスクも存在します。
■ 出品者のリスク:
- 利用規約違反によるアカウント停止
- ギフト券の不正取得が発覚した場合、刑事責任の可能性
- トラブル時に対応できない(返品不可・ノークレーム前提)
■ 購入者のリスク:
- 無効なコードを購入しても返金されない
- 詐欺・虚偽出品に遭うリスク
- ギフト券を使った後に残高が取り消される(後から無効化)
■ 運営者のリスク:
- 古物営業法・資金決済法違反に該当する恐れ
- 取引の仲介をすることで“実質的な業者”とみなされ、違法となる可能性
- 過去には複数のサイトが警察に摘発されている
電子ギフト券の個人売買は、「誰でも簡単にできる」ように見えますが、その実態は法的に極めてグレーな領域にあります。
特に後払いを使った現金化や不正取得による出品は、確実にリスクを伴います。
次章では、これらの取引を提供・運営している「運営者」が負う法的責任と違法性について、詳細に解説していきます。
2. 運営者は違法?法律上の問題点と責任

電子ギフト券の個人売買を仲介・管理する売買サイトの運営者は、その行為が法律に触れる可能性が高く、非常に慎重な運営が求められます。特に無許可でギフト券を扱う場合や、古物営業法・資金決済法の要件を満たさずにサービスを展開すると、明確な違法行為に該当するリスクがあります。
この章では、電子ギフト券の売買サイトや掲示板を運営する者が直面する法律上の問題と、実際の摘発例、そして合法に運営するために必要な条件について詳しく解説します。
運営者が問われる主な法的リスク
運営者が法律違反となる可能性があるのは、以下の2つの法律に対する違反です。
1. 古物営業法違反
古物営業法とは、中古品や再販品を扱う事業者に対し、公安委員会の許可を義務づけている法律です。
電子ギフト券は“物”ではなくデジタルコードですが、コードの再販売や仲介を収益化している場合、「古物と同様の扱いになる」と判断されるケースがあります。
特に、以下のようなサイト運営は古物営業法に抵触する可能性が高いです。
- ギフト券の売買を運営者が仲介し、手数料を徴収
- 買取と販売をサイト内で管理し、在庫を抱えている
- 出品者と購入者をマッチングさせ、運営が間に入って取引管理
これらはすでに「物品の流通を管理している」と判断される可能性があり、無許可営業=違法行為となります。
2. 資金決済法違反
資金決済法では、前払式支払手段(ギフト券や電子マネーなど)を取り扱う業者に対して登録・届出義務を課しています。
運営者が売買サイト上で楽天ギフトカードやAmazonギフト券などの電子コードを直接扱う場合、
- 「資金移動業」と見なされる可能性
- 「前払式支払手段発行者」としての規制対象になる可能性
があります。これらの認可を受けていない運営者が、ギフト券の預かり・換金・転売に関わると、資金決済法違反で罰則を受ける可能性が出てきます。
無許可営業のリスクは非常に高い
現在、日本全国で複数の「電子ギフト券個人売買サイト」が存在していますが、その多くは古物商許可も資金移動業登録も取得していないと見られます。
理由は明確で、取得には以下のようなハードルがあるからです:
- 古物商許可は公安委員会への届出・審査が必要
- 資金移動業登録は1000万円以上の資本金、保証金供託義務がある
- サイト内での取引管理や資金流通に厳格な監査体制が求められる
そのため、「個人売買を支援する掲示板」や「メッセージ仲介だけをするサイト」などと装って実質的には取引を誘導している運営者が多いのが現状です。
📌 この“あいまいな立場”が、運営者を非常に危険なグレーゾーンに置いています。
実際の摘発事例とその背景
近年、電子ギフト券の不正売買に関わる運営者や仲介者の摘発が相次いでいます。
● 事例1:無許可でギフト券を買い取って販売
→ 古物商許可を持たずにギフトコードを大量に買取し、転売していた業者が、古物営業法違反で逮捕・略式起訴。
● 事例2:個人売買プラットフォームの管理人が摘発
→ 個人間でギフト券のやり取りが可能な掲示板を運営し、手数料を徴収していた運営者が、無登録での資金移動業運営の疑いで警察により事情聴取。
● 事例3:詐欺的出品を黙認したサイトに責任追及
→ 出品者が不正コードを大量に販売していたが、サイト側が通報に応じず、消費者センターにより行政指導。
これらの事例は、「仲介するだけなら大丈夫」と考えている運営者が、実質的に違法な商取引を支援していると判断された結果です。
利益を得ている時点で「責任」は避けられない
運営者が「利用者同士の責任です」としても、以下のような実態があれば法的責任を問われる可能性が高まります:
- 出品ガイドラインや出品カテゴリでギフト券を許可
- 手数料を取って売買を成約させている
- 運営側がトラブルの仲裁を行っている
- 出品者の売上を一時的に預かって管理している
これらはすでに“仲介業者”と見なされる行為であり、詐欺や違法出品が行われた際には、共犯または管理責任を問われる可能性があります。
合法に運営するには何が必要か?
もし電子ギフト券の売買を合法的にサイト上で運営したいのであれば、以下の3つの対策が必須です。
● 古物商許可の取得(公安委員会)
→ 会社設立、登記、身元確認書類の提出が必要。
● 資金移動業者または前払式支払手段発行者としての登録
→ 金融庁への届出、資本金1,000万円以上、内部監査体制など。
● 出品内容の監視と、本人確認の徹底
→ ユーザー認証、KYC(本人確認)、取引履歴の保管義務を守る。
これらをクリアして初めて、電子ギフト券の売買を合法的に事業として運営することが可能となります。
個人売買の自由を掲げていても、実質的に取引を仲介・管理している運営者は、明確に法律の網にかかる対象となります。
次章では、売買に参加する「出品者」がどのような違反・責任を負うのかを詳しく見ていきます。
3. 出品者が違反となるケース

電子ギフト券の個人売買において、出品者は「ただ自分の持ち物を売るだけだから問題ない」と考えがちですが、それは非常に危険な誤解です。
ギフト券を出品する行為には、各プラットフォームの利用規約に違反する可能性があり、さらに状況によっては刑事責任や民事責任を問われることもあるのです。
本章では、電子ギフト券を出品した場合に起こり得る違反行為やリスクについて、具体的に解説していきます。
ギフト券転売は合法か?
そもそも「ギフト券の転売は法律で禁止されているのか?」という疑問を持つ人は多いですが、原則として個人が自分で購入したギフト券を1回限り売却すること自体は違法ではありません。
しかし、以下のようなケースでは、違法または違反となるリスクが発生します。
違法となり得る出品パターン:
状況 | 適用される可能性のある法律 | 概要 |
---|---|---|
他人の名義で購入したギフト券を出品 | 詐欺罪、私文書偽造罪 | 本人の許可なく利用した場合 |
不正に入手したコードを販売(例:フィッシング、窃盗) | 窃盗罪、電子計算機使用詐欺 | 取得手段が違法な場合 |
業として反復継続的にギフト券を出品 | 古物営業法違反 | 商用目的とみなされる可能性あり |
未使用を装って使用済みのコードを販売 | 詐欺罪 | 故意に偽情報を提供した場合 |
つまり、「本人名義で正当に取得したコードを、1回限り販売する」という範囲内であれば合法性が高いものの、繰り返し出品したり、入手経路が不正であった場合には、重大な刑事責任を負う可能性があるのです。
利用規約違反になるパターン
ほとんどのフリマアプリやオークションサイト、SNS系プラットフォームでは、電子ギフト券やプリペイドカードの出品を禁止しています。
各プラットフォームの規約例:
- メルカリ公式ガイドライン:「金券・チケット類の一部(電子ギフト券含む)の出品は禁止されています」
- ラクマ:「Amazonギフト券など、利用コード形式の金券・電子マネー類の出品は禁止」
- PayPayフリマ:「出品禁止物に該当するため、出品や購入でアカウントが利用停止になる場合があります」
これらに反して出品した場合、以下のようなペナルティを受けるリスクがあります。
規約違反による制裁:
- 出品停止
- アカウントの一時停止または永久凍結
- 売上金の没収
- 違反履歴による将来的な利用制限
📌 結論:仮に法的には問題がなくても、利用規約に違反していれば、出品者としての信用と利益を一気に失う可能性があるのです。
詐欺・コード無効によるトラブルと刑事責任
電子ギフト券の個人売買において最も多いトラブルが、「購入者がコードを入力したが、使用できなかった」というものです。
このようなトラブルには、以下のような原因があります。
よくあるトラブルの原因:
- 使用済みコードを“未使用”と偽って販売
- 購入後に出品者がコードを自分で使ってしまう(横流し)
- 複数人に同じコードを販売する(コピー販売)
これらの行為が発覚した場合、明確な詐欺罪に問われる可能性があります。
詐欺罪に問われると…
- 初犯でも刑罰は懲役10年以下または罰金(刑法第246条)
- 被害者に損害賠償責任(民事)も発生
- 被害届が提出されると、警察による捜査の対象に
さらに悪質なケースでは、SNSでの大量販売や、複数アカウントでの出品が「組織的犯行」とみなされることもあります。
📌 特に“故意に”詐欺を行っていたと認定されると、情状酌量の余地は少なく、刑事罰の対象となる可能性が極めて高いといえます。
個人でも「業」とみなされる可能性
繰り返しになりますが、「一度だけ出品して換金する」行為と、「毎月数十枚のギフト券を出品して現金化する」行為では、法的評価が大きく異なります。
後者のような行為は、たとえ個人であっても「業として反復継続して行っている」とみなされ、古物商許可が必要な営業行為と判断される可能性があります。
判定基準となるポイント:
- 出品頻度が高い(週1回以上)
- 同種の商品を反復して売っている
- 売上が月数万円〜十数万円に達している
- 売却利益を生活費や経費にあてている
これらに該当すると、無許可営業による古物営業法違反で摘発される可能性が十分にあります。
安全に出品するための心得
出品者がトラブルを避け、安全に電子ギフト券を取り扱うには、以下の点に注意すべきです。
✅ 出品前のチェックリスト:
- □ 自分で購入したギフト券か?(入手経路が明確か)
- □ 使用履歴のないコードであるか?
- □ 出品プラットフォームの規約で禁止されていないか?
- □ 相手に送る前にコードを記録・保存しておいたか?
- □ 1回きりの出品であり、業としての連続性がないか?
これらを意識することで、違反リスクを最小限に抑えつつ、安全に一度限りの売却を行うことが可能です。
次章では、取引のもう一方の当事者である「購入者」が抱える法的リスクや詐欺被害の実態について詳しく解説します。
4. 購入者のリスクと法的責任

電子ギフト券の個人売買において、多くの人は「出品者の方が責任は重い」と考えがちです。確かに、不正なコード販売や詐欺行為は出品者側の問題ですが、購入者であっても重大なリスクに巻き込まれる可能性があることは見逃せません。
「安く買えればラッキー」「業者よりお得だから」と安易に個人売買でギフト券を購入した結果、詐欺被害に遭う、アカウントが凍結される、法的責任を問われる――。
そんな事態を避けるためにも、購入者が直面するリスクと法的な責任範囲を正しく理解する必要があります。
使用できないコードを購入した場合の責任は?
個人売買で購入したギフト券のコードが使用できなかった場合、購入者側はどうなるのか?
このトラブルは実際に非常に多く発生しており、以下のようなケースが主な原因です。
使用できないコードの原因:
- 既に使われたコード(使用済み)を「未使用」と偽って販売
- 偽造コード・存在しない番号
- 複数人に同じコードを販売する(コピー販売)
- ギフト券発行元(Amazonなど)による利用制限・無効化
📌 結論:購入者が「だまされた側」であっても、被害者としての救済は非常に限定的です。
なぜなら、個人売買は購入者保護がほとんどない“自己責任取引”とみなされるからです。
とくに、以下のような状況では泣き寝入りになる可能性が高くなります。
- 匿名掲示板やSNSでの取引
- 銀行振込で直接送金(決済履歴が曖昧)
- 「ノークレーム・ノーリターン」と明記された出品
詐欺被害への対応と限界
被害に遭った場合、購入者はどのような対応が可能なのか?
以下が一般的な対応手段です。
1. 出品者へ返金要求を行う
→ 返信がない、ブロックされる、連絡が途絶えるパターンが多数。
2. プラットフォームへの通報
→ メルカリやラクマでは運営が調査・返金対応することもあるが、禁止出品物の場合は補償対象外になることも。
3. 警察へ被害届を提出する
→ 詐欺罪の構成要件を満たせば捜査対象に。ただし、少額や証拠不十分だと立件されにくい。
4. 弁護士を通じて民事訴訟を行う
→ 費用と時間がかかるため、ギフト券1〜2万円の被害では非現実的。
📌 このように、個人売買での購入者は非常に立場が弱く、法的救済も限定的なのが現実です。
自覚なき「違法行為」への巻き込まれ
さらに深刻なのは、購入者自身が知らぬ間に違法行為に加担してしまうケースです。
例1:不正取得されたギフトコードを購入した場合
→ たとえ自分が“正規の購入者”のつもりでも、そのギフトコードが「盗難品」や「詐取コード」だった場合、
ギフト券発行元が後からコードを無効化し、残高の凍結・アカウント停止などを行うことがあります。
また、状況によっては、
- 電子計算機使用詐欺の共犯と見なされるリスク
- 購入時のやり取り履歴が証拠として押収される
というリスクも否定できません。
例2:複数人からの不正購入(組織的流通)に関与
→ 購入したギフト券が犯罪組織によるマネーロンダリングや詐欺スキームの一部だった場合、
警察や金融庁の捜査対象に巻き込まれるリスクも生じます。
📌 “安く買えるから”という安易な動機で取引に手を出した結果、自分が法律違反の加害者側とみなされる危険性すらあるのです。
購入者が守るべき最低限のルール
では、購入者としてトラブルや違法行為への巻き込まれを防ぐには、どのようなルールを守るべきなのでしょうか。
✅ 安全な購入のための5つのチェックリスト
- □ 信頼できるサイト・業者を利用しているか?
(公式サイト→運営情報が確認できることが必須) - □ 個人との直接取引ではないか?
(SNSや掲示板は特に危険) - □ 価格が相場より極端に安くないか?
(相場より2割以上安い場合は要注意) - □ ギフトコードの確認手段があるか?
(届いたコードの使用履歴確認や保証制度がある業者が理想) - □ ノークレーム・ノーリターンと記載されていないか?
(返金トラブル時に何もできない可能性あり)
これらを守ることで、少なくとも詐欺や違法スキームに巻き込まれるリスクは大幅に軽減されます。
正規の買取業者を利用するという選択肢
購入者としてギフト券を手に入れたい場合、正規の電子ギフト券販売サイトや、信頼性の高いギフト券買取サイトを活用するのが最も安全です。
- 古物商許可を持つ業者なら法的に問題がない
- トラブル発生時には返金・サポート対応が可能
- 買取後の再販品も動作保証・利用保証が付いている場合がある
多少の手数料や相場価格との差があっても、安心と安全を優先することが、長期的には最も賢明な選択です。
購入者だからといってリスクゼロではありません。むしろ、ルールや法律を知らないまま個人売買に手を出すことで、取り返しのつかないトラブルや法的責任を負う可能性すらあります。
次章では、電子ギフト券の個人売買に関して多くの人が抱いている「よくある誤解」について、事例を挙げながら解説していきます。
5. 電子ギフト券の個人売買に関するよくある誤解

電子ギフト券の個人売買は、その手軽さや換金性の高さから多くの人に利用されていますが、同時に誤った認識やリスク軽視によって、トラブルや違法行為に巻き込まれるケースも後を絶ちません。
この章では、実際によく見られる5つの誤解とその真実について解説し、リスクを最小限に抑えるための理解を深めます。
誤解①:「個人間の売買なら法的に問題ない」
真実:個人間であっても違法になるケースはある。
確かに、個人が自分で購入したギフト券を一度だけ他人に売ること自体は原則違法ではありません。しかし、以下のような条件が重なると、法律違反に該当する可能性があります。
- 繰り返し出品して収益を得ている → 古物営業法違反の可能性
- 不正に取得したコードを販売 → 詐欺罪や窃盗罪の対象
- 規約で禁止されている場所(例:フリマアプリ)での出品 → 利用規約違反によりアカウント凍結
つまり、「個人間ならOK」という思い込みは非常に危険であり、実態や頻度によっては法的リスクが発生します。
誤解②:「コードが届けば安心」
真実:コードが届いても「使える」とは限らない。
個人売買でよくあるトラブルが、「コードが届いたのに、使えなかった」というものです。その原因には以下のようなものがあります:
- 使用済みコードを“未使用”と偽って販売
- 複数人に同じコードを販売(コピーコード)
- 不正取得されたコードが運営元により後日無効化
つまり、コードが届いたという事実は“購入の証明”にはなっても、“有効性の保証”にはならないということです。
📌 安心してギフトコードを使いたい場合は、買取保証や返金対応のある正規業者から購入すべきです。
誤解③:「フリマアプリで見かける=出品しても大丈夫」
真実:大手フリマアプリは原則、電子ギフト券の出品を禁止している。
メルカリ、ラクマ、PayPayフリマなどでは、利用規約上、電子ギフト券・金券・プリペイドカードなどのコード形式の商品は出品禁止物と明記されています。
それでも実際には出品が存在することがありますが、それは以下のような事情があるためです:
- 出品者が商品名・画像を工夫して規制を回避している
- 運営による削除までに時間がかかっているだけ
- 一時的に出品が“通ってしまっている”にすぎない
つまり、「他の人がやっているから大丈夫」と思って出品すると、出品削除やアカウント停止、売上金没収といったリスクを被ることになります。
誤解④:「匿名・個人取引の方が安全」
真実:匿名性が高い取引はトラブル時に“何もできない”。
LINE、X(旧Twitter)、Discordなどを通じたSNS上でのギフト券取引は、詐欺被害の温床となっています。
匿名の相手とやり取りしてしまうと、以下のような問題が発生します:
- 相手の正体が分からず、詐欺に遭っても追跡不可
- 振込後に音信不通になるケース多数
- 通報や被害届を出しても証拠が不足し、立件困難
特に、「個人から直接購入した方が安い」と安易に選んでしまうと、リスクに対する補償も何もないまま泣き寝入りとなることが非常に多いのです。
誤解⑤:「業者は手数料が高くて損」
真実:正規の業者を通すことで“トラブルリスクを大幅に軽減”できる。
一部の人は「買取業者に売ると手数料が高くてもったいない」と考えがちですが、その手数料には以下のような安心サービスが含まれています:
- 本人確認による詐欺防止
- 使用済みコードの返品・再査定対応
- 明朗な買取率と即日入金対応
- 問題発生時のカスタマーサポート
結果として、安心・安全に現金化・購入ができるという“価値”を手数料で買っているとも言えます。
個人間で安く買えても、使えないコードだったり詐欺に遭ってしまえば「損失は100%」になります。
その点、正規業者を利用すれば「多少の手数料=保険料」として、確実性の高い取引が可能になります。
誤解の裏にある「自己責任」の危うさ
個人売買における最大の問題は、「全て自己責任」とみなされることです。
そのため、以下のような誤解をもとに行動した結果でも、救済を受けることが難しくなります。
誤解 | 結果 |
---|---|
個人間ならOK | 無許可営業とみなされ、古物営業法違反のリスク |
コードが届けば安心 | 使用不可、詐欺コードの可能性 |
出品例があるから平気 | アカウント凍結、売上没収のリスク |
匿名の方が楽 | 詐欺被害に遭っても補償ゼロ |
業者は損 | 結果的に個人売買の方がリスク高&損失大 |
次章では、こうしたリスクや誤解を回避するために、電子ギフト券を安全かつ合法的に取り扱うための具体的な方法と今後の動向について解説します。
6. 法律・規約を守ってギフト券を扱うには?

電子ギフト券の個人売買は、一見すると簡単で便利な手段のように見えますが、その裏には法律・利用規約・詐欺リスクといった多層的なリスクが潜んでいます。
これまでの章で解説してきたように、出品者・購入者・運営者それぞれに違反の可能性があるため、「知らなかった」では済まされない場面も出てきます。
そこでこの章では、電子ギフト券を“合法的かつ安全に”取り扱う方法を、ルール・仕組み・将来的な動向の3つの観点から整理してご紹介します。
安全な取引のための前提条件
まず大前提として、電子ギフト券の取引を安全に行うためには、以下の3つの要素をすべて満たしていることが望ましいです。
① 本人が正当な方法で入手したものであること
- 自分で購入した
- プレゼントで受け取った
- 正規の交換・キャンペーンなどで取得した
📌 他人名義や不正取得のコードを売買することは、たとえ知らなかったとしても刑事罰の対象となる可能性があります。
② 取引先が信頼できる相手または業者であること
- 古物商許可を持つ買取サイト
- 運営情報が明確な法人・事業者
- フリマアプリなどでは出品自体が禁止されていないか確認
📌 「安いから」「早いから」で判断せず、身元のはっきりしている相手との取引を徹底することが重要です。
③ 利用規約・法律を確認していること
- 使うプラットフォームの出品・購入規約
- 自身が居住する国・地域での法令(資金決済法・古物営業法など)
📌 規約違反はサービス利用停止、法令違反は処罰の対象になります。
古物商許可のある業者の利用がもっとも安全
ギフト券を現金化したい、またはギフト券を買いたいという場合は、「古物商許可を持つ業者」を通すことが、もっとも安全かつ現実的な手段です。
なぜ古物商許可がある業者が安心なのか?
- 都道府県公安委員会から正式に営業許可を受けている
- 利用者情報の管理・取引記録の保存義務がある
- 不正な取引が発生した場合にも、法的対応や返金措置が期待できる
また、多くの正規業者では次のようなサポートがあります:
- コードの使用不可時の対応(再審査・再買取)
- 本人確認の徹底(詐欺防止)
- 取引の明細や履歴の提供(トラブル時の証拠に)
📌 利便性だけでなく、「後ろ盾のある業者を通す安心感」こそが、長期的に見て最も大切なポイントです。
ギフト券を売買する際の安全な手順
安全かつ合法的に電子ギフト券を扱うための手順を、売却・購入の両方のケースで整理しておきましょう。
【ギフト券を売る場合】
- 本人名義のアカウントで正規に購入
- 買取業者の公式サイト→買取フォームから申し込み
- ギフトコードを送信し、査定と振込を待つ
- 入金後、後払いの支払い・帳簿の確認などを実施
【ギフト券を買う場合】
- 正規販売サイトまたは古物商許可のある再販業者を選定
- 利用条件・返品対応などを事前に確認
- 決済前に信頼性や過去の口コミをチェック
- 購入後、届いたコードは速やかに利用・保管(スクショ保存)
📌 特にコード形式のギフト券は使える保証が命です。
「コードが届いた」だけで安心せず、“正しく使えるか”を保証してくれる仕組みがあるかどうかを見極めましょう。
今後予想される規制強化の流れ
現在はギフト券の個人売買に対する規制が緩い状況ですが、今後は以下のような方向で法整備・規制強化が進む可能性が高いと考えられます。
■ 資金決済法の改正(ギフト券売買への明示的な規制強化)
→ 金券類の個人売買に対する登録制・報告義務の導入が議論されている。
■ フリマアプリ運営会社の監視強化
→ ギフト券や金券の出品自体を技術的にブロックする流れへ。
■ 警察・消費者庁による不正出品者・詐欺販売の摘発強化
→ 特にSNS経由での違法取引に対し、捜査が積極化。
📌 このような流れを受けて、「現時点でセーフだから今後も大丈夫」という考えは通用しなくなる可能性が高いのです。
常に最新の規制情報を確認する姿勢が求められます。
安全性・合法性を最優先にすることが持続可能な取引の鍵
ギフト券の取引は、金銭が即座に動く“準金融取引”のような性質を持ちます。
だからこそ、「安さ」「速さ」「簡単さ」だけで判断するのではなく、「安全性」「合法性」「再現性」を軸に判断することが重要です。
今後も電子ギフト券の需要は高まり続けると予想される中で、以下のような行動が推奨されます。
- 正規ルートを使う(ギフト券は“金融商品に準ずる”と考える)
- 価格よりも信用性・サポート体制を重視する
- 出品・購入時の規約と法律を逐一確認する
次章では、これまでの内容をQ&A形式で整理し、読者が抱きやすい疑問に分かりやすく答えます。
Q&A:電子ギフト券個人売買に関するよくある質問

Q1. 電子ギフト券の個人売買は完全に違法ですか?
A. 個人が1回限り、正規に取得したギフト券を売ること自体は違法ではありません。
ただし、繰り返し販売した場合は古物営業法違反となる可能性があり、不正取得や名義違いのギフト券を出品した場合は、詐欺罪などの刑事罰の対象にもなります。
Q2. フリマアプリでの出品は何が問題ですか?
A. メルカリやラクマ、PayPayフリマなどでは、電子ギフト券の出品が利用規約で明確に禁止されています。
違反が発覚すると、出品削除・アカウント凍結・売上没収といった制裁を受ける可能性があります。利用者保護の観点からも、正規の買取業者を使う方が安全です。
Q3. ギフト券の個人購入はリスクがありますか?
A. はい。コードが無効だった場合、返金されない・出品者と連絡が取れないなどのトラブルが多発しています。
さらに、購入したコードが不正取得品だった場合、自分が知らないうちに法的責任を問われる可能性もあるため、信頼できる業者経由での購入が望ましいです。
Q4. 運営者が個人売買サイトを立ち上げたら違法になりますか?
A. 古物商許可や資金決済法に基づく登録がなければ、違法となる可能性があります。
たとえ掲示板型サイトであっても、出品管理・手数料徴収・資金のやり取りなどがあると、法律上「営業行為」と見なされ、摘発される恐れがあります。
Q5. 安全にギフト券を扱うにはどうすればいいですか?
A. 以下の3つのポイントを守ることで、安全性が大きく高まります:
- 正規の販売元・古物商許可を持つ買取業者を利用する
- フリマアプリやSNSなど、匿名性の高い取引は避ける
- 購入前に規約・法的制限を確認し、自己判断で動かない
記事まとめ:電子ギフト券の個人売買は“常にグレー”。だからこそ慎重に
電子ギフト券の個人売買は、現金化や安価購入を目的として多くの人が利用していますが、その多くは法律・規約・リスクのグレーゾーンにある行為です。
出品者・購入者・運営者それぞれが直面するリスクは以下の通り:
立場 | 想定されるリスク |
---|---|
出品者 | 古物営業法違反、詐欺罪、利用規約違反による凍結 |
購入者 | 詐欺被害、無効コード購入、法律違反への巻き込まれ |
運営者 | 無許可営業による摘発、資金決済法違反、行政指導 |
これらのリスクを回避し、安心・合法的にギフト券を活用するためには、以下の選択肢が最も安全です。
✅ 安全な取引のために:
- 古物商許可のある買取・販売業者を利用する
- SNS・掲示板での直接取引は行わない
- 利用規約と法律を必ず確認する
- 「安さ」よりも「信頼性」を優先する
- ギフト券の保管・履歴管理を徹底する
電子ギフト券は、扱い方次第で非常に便利な資産となりますが、その裏に潜むリスクを知らずに手を出すことは危険です。
正しい知識と判断で、トラブルのない安全な取引を実現しましょう。